自然農をめざすことにした経緯と思い
こんにちは。
いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
今日は7月25日。
2年前のこの日は僕にとって大きく人生が変わり始めた転機の日です。
その時はまさか今のような人生になるとはまったく想像していなかったけどこの日がなければ今の僕は多分ないだろうなと思います。
この節目の日に今僕が携わっている農についての向き合い方、想いなどを綴りたいと思います。
農に携わろうと思った経緯や想いについては昨年のこの日にFacebookで投稿していて基本的なことについては読み返してみて今も変わらないので興味のある方はこの投稿の下に当時の投稿を張り付けているので読んでみてください。
今僕が取り組んでいる農の方法は「自然農」というものです。
農薬や化成肥料を使わないのはもちろんのこと肥料も基本的には無肥料なんだけど必要に応じて植物油来の肥料のみを使用します。
作物が育つ畝も耕さない「不耕起」というやり方です。自然農でも耕す方はおられますしそれぞれ自分の考えや想いなどで細かいところではやり方はさまざまなようです。
この方法をやってみようと思ったのは去年の投稿にも触れていますができるだけ人が手を入れずに自然の持つ力だけで作物を育ててみたい(育てるも栽培と言う言葉は人間めせんであまり好きではないけど)ということがあって、それは野菜ももちろんだけど畑に生きる微生物や草や虫や小動物などとにかく全ての生き物達が共生し、それぞれの生き物がこの畑で精一杯自分の命を全うして次の世代に循環するような、そして豊かな生態系による環境がすごく自分にとっては素敵なことに思えたからです。
多分自分がそのような環境に身を置かせてもらえることがどんな場所にいるよりもとても自然で心地いいからというのがあると思う。
ただこの方法は時間がかかる。
土の中の微生物の種類も数も増えてその働きも活発になって多様性のある環境にならないと作物達はなかなか育たない。
なのでまだ2年目の僕の畑では成長も遅いしうまく育たずに枯れてしまったり、できてもほんとに小さかったりがほとんどで収穫もまともにできるものがない状態です。
つい先日も僕の畑の近くで畑をされている方から「堀口君、全然出来てないやんか、もっとがんばらなあかんで」と言われてしまいました。(^_^;)
確かにえんどうは少しできたけどその他はまともにまだ収穫できるようなものは殆どできていない。
今の農業は肥料で育てているように思う。そういう農業を否定するつもりはないし、むしろみんなが食べている野菜はそういう農業があってこそ支えられていることは間違いないし農家さんの努力は大変なものだと思う。
でも僕はできるだけ自然の力をかりて育てたいという考えだから市場に出ているものと同じものはできにくい。
時間がかかったり、出来ないことはわかっていたつもりだけどここまでとは思ってなかった。
昨年獲れた数少ない作物の一つの大豆も今年は撒いた種を鳥達に食べらてしまって何回か撒き直しをしたりして土壌の問題以外の要因でもなかなか出来てない。
誤解されたら困るけど自然の力で育てるというのは放任すると言う意味ではなくて草の管理や今回のように撒いた種を食べられないような対策をしたり、作物の状況に応じて適切な対処はしていく必要はある。但し、必要以上のことはしない。
その作物が今して欲しいこと、こういうことをして欲しいという彼らからの声に気づいて野菜達が自分の力で育つようにそれを手助けしてあげる。でもこれがなかなか難しい。まだ彼らの声に気づいてあげるだけの経験も知識も経験も僕にはない。だから今の課題は野菜たちの声を聞けるようになること。そして野菜たちだけではなくて畑にいる生き物たちの声も聞こえるようになること。
そして土の中で生きている微生物や土の中で繰り広げられている世界を想像したり理解すること。
最近僕は目に見えるものより目に見えないものの方が大切なものがたくさんあるんじゃないかって思うようになっています。今の僕に見えていないものはたくさんあると思う。そういうものを心やこの身体で感じることがとても大切じゃないかって。
そんな感覚はこの自然の中自分の身を置くことで少しずつでも身に付いていけばいいなと思います。
いかにこの自然に僕がこの自然の中に生きる生き物たちの中のひとつの生き物として受け入れてもらえるのか。
作物の出来不出来は僕の存在や僕のこの畑や自然との係わり方をこの畑や自然に受け入れてもらえるかどうかじゃないかと思います。受け入れてもらって初めて出来るようになるのかな。
なので今は他人に認めてもらうよりもこの自然に受け入れてもらう、認められたいという気持ちが強くあります。
そしてこの畑で育ってくれた作物達の種をとって次の世代に繋いでいく。
野菜たちのしていることはただ次の世代に命をつないでいるだけ。
僕たちはその途中のものを戴いているのだから出来たもの全部を獲るのではなくて種を残して次の作にその種をまた畑に降ろしてあげるのは彼らの命を戴く僕たちのせめてもの礼儀ではないかと思う。
結果ばかりが求められる世の中ではこんな僕のようなやり方はそぐわないかもしれないけど、世の中に合わすのではなく自然に合わすことの方が大事だと思う。
あせらず、じっくり、ゆっくり、気長に待ちながら時間をかけてやっていこうと思う。
それに今は心からこういう生き方に出会えてそういう生き方ができていることが幸せで嬉しく思える。ほんとうにありがたいこと。
時間はかかるだろうけどいつか必ず食べて「あー、幸せだなーっ」て思える野菜が僕の畑で育つことを信じてこれからもこの畑や自然と向き合っていこうと思います。
以下は昨年(2015年)7月25日にFacebookに投稿した内容です。(これも長文です)
28年間勤めた会社を後先のことを考えずに辞めて今日でちょうど一年。
この一年の間に忘れがたくまた不思議な出逢いや辛い別れもあり、生活環境や生き方に大きな変化がありました。
今思うとまさにこれまでの人生で一番大きな転換期であり今もその流れは続いているようです。
会社を辞めた翌週にある方の紹介で当時住んでいた地域で有機農法で野菜を栽培されている方の畑に伺い農作業をさせていただいた時に自然の中で働くことの心地よさを感じました。
その後もそのご夫妻のご厚意によりしばらくの間、週に数日お手伝いというかたちで通わせていただくことになり、いろいろ教えていただきながら作業を行ううちに1日の中でもその姿や風景を変えて行く自然の雄大さや美しさに心が和み、畑で収穫した野菜の美味しさ、農作業の奥深さなどを体験していた中であることがきっかけで農業というものへの興味が自分の中にあることに気づき始め、最終的に農業を第二の人生の仕事にしたいと思うようになり、昨年の11月から農業を仕事として携わる人生をスタートしました。
でも、農業を選んだ一番の理由は自然の中に身を置くことができて、季節の移ろいを感じながら過ごせることに幸福感を感じたことだったと思います。
そうして農業に興味を持ち始めた頃からネットや書籍で農業についていろいろ調べたり、農業講習などを受講したり、友人から話を聞いたり、環境問題を提起した映画を鑑賞しているうちに現在の農業のあり方や食などに関して日本だけでなく世界中で多くの問題を抱えていることを知りました。
例えば、日本の食料自給率の低さ、就農人口の減少と高齢化、普段何気なく食べている食品に含まれる添加物や遺伝子組み換え作物による身体や心への影響のこと、畑に撒かれる化成肥料が自然環境を汚染していること、過度な肥料の使用で農作物に硝酸態窒素濃度が高くなることによって発がん性のリスクがあること、欧州では作物ごとに硝酸態窒素の濃度値に規制があるのに日本では一切ないこと、作物の種子は種子の販売会社が品種改良を重ねていることからF1種子といって一代限りで種取りが出来ない(種を取って植えても元のものと同じ作物ができない)種が主流になっていること、海外で栽培された作物がかかっているコスト(労働力)に対して正当な価格で取引されず不当に安い賃金しか払われていない問題等々・・・
どれも会社に勤めていたときには知識も興味ももっていなかったことが数えきれないほどたくさんありました。
中でも一番ショックだったのが一番自然に優しいと思っていた現代農業が一番自然環境を汚し、壊していることでした。
そんな中で自然農や自然栽培といった無肥料、無農薬で自然が本来持っている力を利用して栽培する自然に寄り添う農法に出合ったことでこういう農法を自分でもやってみたいと思うようになりました。
自然界は動植物の多様性によって成り立っていて生命が循環することでその命が繋がってきました。地球に生命が誕生した太古から脈々と繰り返し行われてきたこの営みが我々人類を含めさまざまな生命を産み出したということを忘れたかのようにその恩恵を一番受けている人類だけが今その環境を滅茶苦茶に破壊しようとしている。
だからせめて僕の畑(3畝ほどの小さい畑ですが)は微生物からはじまる多種多様な生き物が生き生きと共生し、自然循環する場所にしたいと考えています。ほんとに小さな小さな取り組みですがこの畑を自然に還してあげたいという思いで農業に取り組んで行こうと考えています。
そして、その自然の力を借りて野菜が本来持っている生きる力「生命力」を引き出して「生命力に溢れる」作物が育つように手助けできるようになりたいとも考えています。
そもそも自然界の生き物には植物も含め病原菌などに対する抵抗力(免疫力)や病気にかかっても自分で治してしまう力(自己治癒力)を持っています。
自然農や自然栽培で育った作物は肥料を与えられて育ったものと比較してこの力が高いようです。
このような生命力のある野菜を採ることで人の免疫力や自己治癒力を高める効果があるのではと思います。
また、このような野菜を採ることで身体だけでなく心にもよい影響があるのではないかと考えています。
自然農・自然栽培は単なる農法ではなくてその人の生き方だとある方が言っておられましたが僕も正にその通りだと思う。
4月の終わり頃からようやく畝立てを始め、鍬とスコップで少しずつ進めているのでまだ畑の半分くらいしか畝がなく作物の栽培も遅れぎみですが上に書いたような想いでこれからも地道に自然に寄り添いながら自然を受け入れて農に取り組んでいきたいと思います。
最後に農業の楽しさや厳しさを教えて頂いたTさん夫妻、第二の人生の方向を照らしてくれたS君夫妻、農という素晴らしい世界へ入るきっかけを作ってくれたNさん、僕の我が儘を聞いてくれた別れた嫁さん、そのことを理解してくれた二人の子供たち、ことあるごとに応援してくれた同級生、友人、知人のみなさん、そしていつも見守ってくれているご先祖様に感謝の気持ちで一杯です。
みなさん本当にありがとうございます。